2009年5月10日日曜日

炭研ぎ

塗りが乾いたら、炭を使って塗面を研いでいきます。

漆を塗ればピカピカの光沢が出て完成と思われがちですが、
実は、漆の工程はここからが長いのです。
塗っては研いで塗っては研いでを繰り返し、表面のキメを整えます。
地道な工程を経ることで、あの光沢が生まれてくれるのです。

適当な大きさに切り分けて使います。


塗面はとてもデリケートなので、炭を砥石で整えます。


大体、このぐらいの大きさの炭を当てていきます。


塗面は、乾くとマットな状態になっています。
刷毛目に対して垂直に、炭を当てて研ぎます。


右が研ぐ前、左が研いだ後です。
小さな炭で作品全体研ぐ作業なので、根性と根気の勝負です。

研ぎ終わりました!
全体を水拭きします。
模様のように見えているのは、下地が出ている部分です。
目では判断できない微妙な段差を無くすことが、この工程では求められます。
この炭研ぎの段階で、ほとんど取ってしまうことから、
捨て塗りと言われているようです。

最後に、♯1500のペーパーを軽くかけます。
こうすることで、表面が落ち着き、次の塗りをした時きれいに仕上がります。(裏技)
漆の作業は、本当に地道です。
あの、ほんの数ミリにしか満たない表面の光沢を出すために、
何度も何度も工程を重ねなければなりません。
本当に逃げ出したいぐらいになるときもありますが、
日々の工程を重ねる度に、自分の魂を入れているような気にもなってきます。
並々ならぬ執着心が作品に対して生まれていきます。
それが漆の苦しいところでもあり楽しいところでもあります。
私が漆に惹かれている理由の一つだと思います。

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