2008年10月20日月曜日

私の作品と漆

今日は、集中講義がありました。講師は、東京都国立近代美術館 工芸館 課長の金子賢治先生でした。今日の講義は、「日本の近代工芸の歴史と現代工芸論」です。日本の近代工芸というのは、西洋のように概念から素材にアプローチするのではなく、すぐそばに、以前から存在し慣れ親しんできた素材をまず限定し、その中から新しい概念を作り出すというように動いてきたのが、日本で生まれた作家だそうです。素材を限定することを出発点としているところが、欧米、特にヨーロッパと決定的に違う部分だそうです。それを、金子先生は『工芸的造形』という言葉で表していました。とても、興味深くわかりやすい講義でした。

私自身の作品について考えてみると、自分の表現したい核が、漆の素材が持つ表面の艶や奥行によって創造を掻きたてられていることから、工芸的造形ともいえるのですが、私の場合、もう1つ”人間”という大きなテーマがあって、それと漆とが今後どのような関係で作品として成立していくのかを模索していく必要があります。これはいわば、概念から作り出すという西洋的な部分も含んでくるのではないのかと考えています。

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